北河内風と言うより、京都風の趣きある築80年の古民家リフォーム、従前の外観を変えないがコンセプト
大阪北部地震で北側に傾いたところで揺れが治まり若干の傾きがありましたが、戻らないため調整しながらのリフォームでした。
施工前写真 現況平面図 当初計画平面図
思い出を形に…
玄関 下地窓の欄間の再生 ガラス戸をアクセント壁に 下地窓を額に
構造補強
構造補強平面図 柱A 便所北西柱 洗面出窓足元土台沈下
柱A 土台交換 柱A補強 柱A基礎根巻き
柱B 傾き・沈下 柱B束補強 補強柱B抱き合わせ
柱C 土台と縁切れ 梁の掛かり少なし 柱Cを抱かせ梁、土台と繋ぐ
D梁の掛かりを増やす 増築部分との境 新旧の梁Dに構造用合板張り
増築部分との境の基礎Eが脆弱 幅広の基礎Eの配筋 布基礎E増し打ち
柱Fと束石の間に隙間が 現場打ちコンクリート束石 状況によってはプラ束
大黒柱から伸びる梁Hが垂れ気味 管柱Fを入れて垂れ防止 束下に管柱
戎・大黒柱の束石は沈下気味 鋼製束が入らないところはコンクリート 大黒柱周り
梁間が広く外周桁に負担が大きい 梁間と直行方向に振れ止め
各所の補強
腐朽している箇所の土台は入替え 基礎と土台はケミカルアンカーで緊結 土台底は防腐剤塗布
大引きの交換、鋼製束 防腐剤塗布(全周) 湿度調整剤敷設
構造用合板張り
隅金物・L金物 背割金物 鋼製火打梁
母屋の接合部が脆弱 母屋材に添木
屋根瓦の葺き替え
従前の瓦を撤去し、瓦風の軽量樹脂製屋根材に葺き替える予定でしたが、元の趣を大切にしたいとの事で、瓦土を下ろして従前の瓦を空葺きにすることとなりました。
既存瓦生捕り 棟が下がっている 垂を補正しながらコンパネ下地
12mmコンパネ張り 防水シート敷き 棟瓦は低めに再生
(`24年2月完工)茨木市 実質工期:100日
古民家リフォーム
古民家リフォーム
総数4件 1
正門から玄関 南側主庭より座敷 座敷より主庭
屋根工事
【淡路瓦葺き替え】
足場・養生シート張り 瓦の搬入出し易い作業ステージ組み 人海戦術で廃材搬出
瓦・土を降ろして、トントン葺き(枌葺き)と呼ばれる椹(サワラ)や杉の薄板や下地の野地板(杉バラ板)は残します。
トントン、野地板は残します コンパネ敷き
ゴム防水シート敷き 瓦の搬入も人海戦術 桟打ち
桟瓦は桟に釘打ち留め 谷には板金 袖瓦を葺く前
棟瓦の施工 際熨斗瓦 熨斗瓦裏の漆喰塗り
【下屋銅板葺き補修】
下屋の既存銅板葺き部分の樋を外したところ、縁側の軒先丸太が普及していることを確認、撤去交換した。
腐朽部の除去 化粧丸太は雀口の部分で切断・交換 実際の荷重は二重になった垂木
銅板晒葺き 銅板際は一文字まんじゅう瓦 玄関庇の一文字瓦
【土蔵の瓦葺き替え】
風当たり、雨に濡れやすい部分の妻・淀の漆喰被害は大きい様です。
部分的に浮いている所も撤去 水性カチオンで下地処理 コーナーに定規を入れます。
軽量モルタルを2回に分けて 漆喰で仕上げます。
内装解体工事
座敷、寝室、茶室、応接室(ペチカ付き折衷様式)は床補強+内装リフォーム。
玄関次の間、厨房、浴室はリノベーション(用途変更工事)をします。
玄関脇下地窓の生捕り解体 ホーロー浴槽の撤去(薪の焚口も残っていました) 浴室基礎はレンガ縦積み
腐朽柱の補強
【コンクリート基礎補強】
脆くなった既存基礎のアンカーボルトの露出した部分の基礎増し打ち
ケミカルアンカー打ち 鉄筋を組み 型枠してコンクリート打ち
浴室―キッチン間の壁の下部を解体したところレンガの竪積の上の柱の腐朽が確認できたため撤去。キッチン側のコンクリート土間は過去あったへっついさんのレンガ積みの上に打設したもの。
既存基礎はレンガ竪積み 浴室がは型枠高60センチ リビング側は型枠高30センチ
柱を一本づつ継ぎ足すのではなく、面で荷重を受けるようにしました。
土台裏に防蟻材塗り 寸切りボルト用穴明け+ケミカルアンカー打ち ボルト締め付け土台緊結
既存土壁切断 小梁入れ 柱接続
【基礎再補強】
浴室境界壁下に基礎を作った後に、台所のへっついさん後のレンガ積みを撤去した部分に基礎補強を行います。
既存のへっついさんコンクリート部撤去 へっついさんレンガ撤去 ケミカルアンカー打ち
配筋 型枠建て込み コンクリート打設
【根太掛け・大引き入れ】
既存土台際に根太掛け打ち 3尺(構造用合板モジュール)毎に大引き 見えない床下も鋼製束で補強
基礎増し打ち上にも根太掛け
管柱撤去と梁補強(ワンルーム化の為の構造補強)
ボルト用の座彫りと穴明け 既存梁捻じれに応じ梁天端に勾配つけ 105×150の集成梁入れ
吹き抜け部の座彫り加工 吹き抜け部は既存梁と同じ松材で ボルトで締め付け
梁下端に埋木 途中で切る柱上部を金物補強 戎柱の土台際も金物補強
戎柱の構造補強
従前は土壁の和室であったため、廻り縁の切り欠き、土壁の抜きいれの小穴など柱の段目欠損が多い為、埋木をした上で8分(24o)厚の檜材を追い回し張りします。
柱断面が菱形に変形 床際で6oの余裕が… 中程では変形
断面欠損状況 切り欠き状況に沿って補修 欠損部全てを埋木
檜無地(節無し)超仕上げ 補強金物際の埋木 羽子板ボルトの調整
裏側にラメロ加工 小口にラメロ加工 面は4分(12o)
化粧板仮組(ラメロのビスケット入れ) 梁のゆがんだ部分は切込み
羽子板ボルトの面から貼り付け 順に追い回し張り 万力で締め付け
梁から上の部分も埋木
洋間(貴賓室)の復元工事
洋間(貴賓室)は和洋折衷で、竹の床柱の洋風出窓床、マントルピースがあり、天井は漆喰塗り、壁は金地に緑青の様な掻き落とし左官仕上げ、床は掘りごたつのある寄木フロアー敷きで、独特な雰囲気を持っています。
【厚みの違う寄木フロアーの復元】
堀こたつ際から床材メクリ 番号を付けながら… 掘りごたつが露わに
根太・大引きの白蟻被害部を確認 大引きの交換 構造用合板張り
外周が9o、内部が15oなので、外周に5.5oのべニアを張っています。
5.5oべニア張り 番号通りに床材を配置 ボンド、ピンネイラーで貼り付け
中央部は市松張り 欠損部分は木工パテ入れ 現状色に合わせて色付け
【天井の漆喰補修】
既存天井は繊細なディティール ひび割れが気になる 今回はパテ入れの上、塗装
【出窓の壁補修】
従前は杉皮張りでしたが、リノベーション後の利用を見越して、杉板張りで施工します。
杉皮、杉板下張りのメクリ 躯体に防腐剤塗り 防腐剤浸透下地材
杉板をピンネイル留め 更に真鍮釘留め 杉皮竹押さえ真鍮釘留め
開口部等修繕
障子だけの下地窓にアクリル入れ 雪見障子建付け調整 雨戸戸車交換
防蟻処理
リフォーム見積もり依頼を受けた時点で、防蟻施工チームが床下から被害ヶ所を調査。大引きの交換の必要な個所は事前に把握。
床下には潜り土台・大引き・根太・床板の裏面に防蟻材を散布。柱の軽微な被害は蟻道の上に穴を明け薬剤注入。
床下で薬剤散布 柱の蟻道上部に穴明け&薬剤散布 玄関土間にも注入
袖塀・露地の築地塀の復旧
【露地の築地塀の復旧】
中門も捻じれて… 扉の格子補修 表面に杉板張り
控え独立基礎の掘削 独立基礎据付 控え柱の加工
築地塀の控え 中門の裏側の控え(檜材) 中門の控え(栗材再利用)
下地窓桟補修 杉皮葺き
屋根棟板金 がんぶり瓦葺き
【玄関袖塀の復旧】
(`20年 令和2年11月完工)堺市西区 実質工期:150日
浜寺地域は明治から戦後のかけて東洋一の海水浴場≠ニ呼ばれ、別荘、お屋敷が残る高級住宅地です。土蔵のあるお屋敷も点在し、当家のように土蔵の妻側(短辺)を卯建の様に、けらばが漆喰で立ち上げられているのをよく見掛けます。防火面では優れていますが、納まりのから考えれば雨仕舞が優れているとは言えません。今回は、簡易的な補修をするために、瓦より突き出した左官部分をカットし、袖瓦で納めます。
瓦の葺き替え
Before 瓦の撤去 妻側の漆喰を切断
傷みがひどい妻側の野地板 野地板の交換(室内から見える) 野地板の上からコンパネ補強
防水ゴムシート敷き 桟に瓦を留める
カットした破風部分には袖瓦 鬼瓦、のし瓦、棟瓦を積んで… 屋根の葺き替え完了
左官補修
窓枠が欠落 モルタル下塗り モルタルで仕上げ
雨漏り被害の内壁 漆喰仕上げを掻き落とし 漆喰仕上げ完工
`21年1月完工(西区浜寺諏訪ノ森)実質工期:15日
古民家リフォームの相談
金剛山の麓、南河内の山間部の築80年の立派な古民家を購入し、セルフビルドで内装解体をされている方から、白蟻被害の戎柱(8寸角桧材)の相談をお受けしました。、間口7間半×4間で建坪30坪で北入り8帖スペースの玄関、座敷が8帖、上がり間が6帖、その裏が6帖、4帖半になります。玄関を挟んだ店奥の物入れは6帖になり、台所は10.5帖です。
弊社事務所の耐震補強コーナーと、敷地内に隣接する私の昭和9年新築の生家を案内。同時期に建てられた古民家の特徴を説明させていただきました。
間口7間半×奥行4間+裏増築1.5坪 30坪+1.5坪
白蟻被害の確認
元の家主さんによると、数年前にリフォームした際、白蟻被害を確認したが、予算的な事もあって防蟻処理を行いそれ以上の白蟻被害を食い止め、被害部分が見えない様に壁を覆ったとの事です。
玄関側より 台所側より 柱は乾燥、被害の進行はなし
既存柱の切断と加工
四方から荷重が架かっているため、完全なジャッキアップをするには、柱周辺の土壁を除去し数か所のサポートが必要ですが、今回は補修を最低限にするため、1か所でのジャッキアップで現状維持の補修の方針で行います。
簡易的な金輪継ぎを採用 普段は使用しない道具も… 支保工(ジャッキアップ)
柱の切断 白蟻被害部分の再確認 既存柱部分を加工
補強柱の加工
通常、金輪継ぎは柱径の2.5〜3倍の長さで継ぎますが、既存のほぞ穴の位置や見栄えを考慮して1.8倍の長さで加工しました。また、既存の礎石が一部沈下していますが、やり替えるとなると大事になるため、柱が見える1/4のみ礎石まで伸ばし、残りは欠き込み鋼製束で荷重を礎石に伝達させます。
大きい鑿は1寸6分(48mm)幅 突き鑿 柱裏3/4は欠き込んで鋼製束
仕口の差し入れ 栓の打ち込むことで仕口が引き締まります。 柱付近の壁にはひび割れ
礎石、基礎補強
ジャッキアップで柱が上がらないため仕口で突き上げる、2cmは柱が短くなります。その為、柱が見える1/4は礎石の間は25mm厚の板石を差し込み、残り3/4の柱を欠き込んだ部分は一旦、3本の鋼製束で支え、それをコンクリートで巻き、基礎補強としました。
鋼製束でジャッキアップ 型枠組 見える部分は25mm厚の御影石を差し入れ
基礎コンクリート打設 型枠バラシ 金輪継ぎ完了
南河内郡内(`18年 平成30年4月完工) 実質工期:2日
総数4件 1